シリーズ「日本が危ない」⑥

日本の食が危ない

コープニュース編集主幹

田中 陽子

はじめに

世界中が想像もできなかったパンデミックの波にのまれて約1年、この間「STAY HOME」を合言葉に地球上の街の様子は一変した。TVやインターネットで見る欧米の病院の惨状は想像を絶するものだった。

このパンデミックはいきすぎたグローバリズムの結果ともいわれている。そして、これをきっかけに「世界が変わらなければ人類に未来はない」と語る有識者も多い。人類は長い歴史のなかで、危機を迎えるたびに幾度もそれを乗り越え、繁栄してきた。

これまで個人的にはグローバリズムは行き着くところまで来てしまったと考えてきた。多国籍企業の利益追求に地球規模で巻き込まれて、あからさまな対立と奪い合いが絶えない。

格差社会は日本でも広がっている。

2019年7月に発表された厚生労働省の平成30年版の「国民生活基礎調査の概況」によると一世帯当たりの平均所得は545万円、平均所得以下の世帯は全体の62.4%となっている。特に国内のシングルマザー世帯約123万世帯の平均年間収入は223万円。平均就労所得は181万円(厚労省の全国母子世帯等調査)で、ひとり親家庭を中心に〝子どもの貧困〟は7人に1人の割合となり、深刻な社会問題になっている。

今回のパンデミックでは、貧困問題に取り組む国際団体オックスファムが「この新型コロナの影響によって過去30年で初めて世界の貧困が拡大する」と、キングス・カレッジ・ロンドンとオーストラリア国立大学(ANU)による研究結果を発表した。この研究によると世界で4億から6億人が新たに貧困状態に陥ると予測、「経済危機は健康危機よりさらに深刻になる恐れがある」としている(BBCニュースジャパン 2020年4月)。文字通り世界は深刻な危機を迎えている。

今後、日本でも貧困が進み、日々の食事が満足に「食べられない」人々が増えていくことが懸念される。そして、ここ3年ほどで日本国民の命を守るはずの食料主権に関する法律は「グローバル企業にとって都合のいい」市場へと方向性を定めたかのように、農業競争力強化支援法、種子法廃止、種苗法改正が続けざまに成立した。