みたまの国、日本

村里 晃男

昔の日本人は知っていた「みたま」の存在

それでは、「みたまの国、日本」とは、どういうことなのでしょう。これを説明させていただくことはとても難しいことです。

先ず、「みたま」から説明させていただかなければなりません。「みたま」とは何か?

神道では、「みたま」を「御霊」と書きます。「ごりょう」とも読みますが、神の「霊魂」のことです。日本人は、古来、死ぬと肉体からこの「みたま」が抜け出し、天に帰って「御霊」という神になると信じていたようです。これが神道でいう「荒魂」(あらみたま)「和魂」(にぎみたま)という神の霊魂の世界です。このように、日本人は肉体の内側に「みたま」があることは分かっていました。


この「みたま」がある場所は、肚だと分かっていたようです。昔から、肚にまつわる言葉は沢山あります。一例を申し上げますと、肚決め、肚からになる、肚に落ちる、肚ができる、肚の底から声を出す、肚に納める、肚の大きい、肚が収まらない、肚に持たない、肚に据えかねる、肚の内を見せない、というように、肚にもう一人の本当の自分「みたま」があることが分っていました。このことを誰もが信じていたのです。肚がとても大事なモノで、肚によって導かれていると自然に感じていたのでしょう。

肚について、もう少し深く掘り下げてみましょう。肚とは具体的に言うと何処でしょうか。単にお腹でしょうか。そんな簡単なモノではないようです。「臍下丹田」という言葉をご存じでしょうか?「せいかたんでん」と読みます。臍下の臍は「へそ」と読みます。臍下とは、へその下ということです。

漢方医学では、へそのすぐ下あたりのところを臍下丹田といい、ここに意識を集中して力を集めれば、健康を保ち勇気がわいてくるといいます。丹田とは、へそ下三寸のことです。東洋医学では、「気の田」のことで、気からなる丹を耕す田のことです。日本の禅の教えでは、坐禅瞑想で下丹田のことを肚と言います。

つまり、肚がへその下丹田ということになります。へその下とはへその奥ということです。ですので、肚は、「へそ」の奥にあるということになります。へその奥に「みたま」があるということなのです。