ノンフィクション作家・河添恵子

北海道や離島だけではない
中国マネーによる〝日本買収〟

コロナ禍で〝火事場泥棒〟は激増中
政府は〝抜け穴のない〟法整備が急務

駅前開発は中国マネーで?

「JR新橋駅(東京)の周辺が、中国マネーに次々買われているって噂があるようです。店舗オーナーから聞いた話ですが、『新しい家主の代理人が来て、賃料を三倍にするとふっかけられた。周囲の店舗も同じことを言われているようで、もうここでのビジネスは無理』と嘆いていました」

これは二〇二〇年秋、私が乗車したタクシー運転手からたまたま聞いた話である。現場取材をしていないので事実か噂の域かは断定できない。

ただ言えることは、ビルや部屋の持ち主が変わり、賃料を高騰させるのは中国社会で日常茶飯な追い出し方である。借主の権利はないに等しいことから、中国では日本と比較にならないほど、不動産の所有志向が強い。高学歴でハンサムな男性であっても、車を持たず、不動産も所有していなければ完全に「負け組」。都市部では、結婚の対象と見なされない。

しかも今年は未曾有のコロナ禍によって、日本を含む世界経済は大ダメージを受けている。そういった時期だからこそ〝火事場泥棒〟は激しく暗躍する。

また、関西の某大都市の駅前近くに老朽化した(しかし立派な)ビルを持つ熟年の知人A氏から、私はこの数ヵ月、相談を受けてきた。個人情報のため、具体名を伏せて紹介しよう。


半世紀以上を経て老朽化したビルの坪単価の相場二百万円に対し、二百三十万円で某社(誰もが知る日本の大企業)へ売却すべく話が進み始めた。

そこへ突然、某キャピタル取締役の名刺を持つ中国人B氏がA氏宅に現われ、「坪単価三百万円で買いたい」と言ってきた。この話に、A氏の兄弟姉妹が食指を動かし、「誰もが知る日本の大企業」との話し合いを中断させてしまった。しかし、中国人B氏の存在に不信感を抱いた知人A氏と妻が兄弟姉妹を説得。同時期から、私に相談が来た。

A氏曰く、「ビル売却の件を、他に話したこともない」のに、A氏の自宅に、別の輩も度々訪ねてくるようになった。ある人物は、「坪単価三百五十万円で買いたい」と、相場価格の一・七五倍を提示したという。

「怪しい輩」の名刺から素性を調べてみた限り、案の定、営業実態のない「ペーパーカンパニー」だった。


「不可解な人物や企業には絶対売らない」決意をかためたA氏のビルに、さらに不可解な事故が起きた。コンクリート壁の一部が「不自然に」壊れ、その破片が落下したのだ。私は「防犯カメラの映像で、ビル周辺での同日の不振な人間の動きがなかったか調べられませんか?」と尋ねた。

それはできなかったようだが、壁周辺の劣化状況を専門業者に調べてもらったA氏は、「満足できる回答は得られなかった」と語る。結局は、コンクリート破片の地上への落下を防ぐため、屋上から金網を設置する他、「無人のビル」に二百万円以上を費やした。

「老人いじめだ」「日本の制度は何も守ろうとはしていない」とA氏は嘆く。しかも、周辺のビルと駐車場の取り壊しが始まったことに「中国マネーに買収されたのでは?」と夫婦は驚愕したという。

これは現在、日本で起きている出来事の氷山の一角だと考えられる。日本政府はさまざまな実例を集め、〝抜け穴のない〟法整備を急ぐべきだ。

河添恵子

河添恵子
Kawasoe Keiko

ノンフィクション作家
株式会社ケイ・ユニバーサルプランニング 代表取締役
一般社団法人美し国 なでしこオピニオンの会 顧問

1986年より北京外国語学院、1987年より遼寧師範大学(大連)へ留学。『中国人の世界乗っ取り計画』(産経新聞出版・2010年)はAmazon〈中国〉〈社会学概論〉2部門で半年以上、1位を記録するベストセラー。近著は『米中新冷戦の正体』(共著)(ワニブックス)Amazon〈中国の地理・地域研究〉1位。ネットTV(林原チャンネル・チャンネル桜等)にレギュラー出演中。50ヵ国以上を取材。

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