ノンフィクション作家・河添恵子

北海道や離島だけではない
中国マネーによる〝日本買収〟

コロナ禍で〝火事場泥棒〟は激増中
政府は〝抜け穴のない〟法整備が急務

〝抜け穴〟だらけの「外資」規制

北海道が中国マネーにより〝爆買い〟されている実情を、国民に広く警鐘を鳴らす意味で、十年前に先駆けて『週刊文春』(二〇一〇年七月十五日号)に発表したのが私である。その後、国会議員や地方議員らに招かれ、説明や提案をする機会は何度もあったが、危機意識の低さと「商法の壁」など法整備ができない理由を並べたてられ、今日に至っている。

そのようななか、米国の圧力でもあったのか? 日本政府は、外資による安全保障上重要な不動産の買収に関して、土地購入者に事前届け出を義務付ける法整備を進めるという。


中国からの灰色・黒色マネーの流入を警戒する政府の動きに、多少は安堵したいところだが、「外資」という縛りによる法整備は〝抜け穴〟だらけと言える。というのも、独特かつ巧妙な買収方法が常習化しているためだ。

中国マネーは、香港のペーパーカンパニー(マネーロンダリングが主目的の郵便ポストだけのオフィス)を経て、振込みや現金(違法な巨額の金額)の持ち込み等、さまざまな手段で日本に流れている。カナダや豪州へいったん流れ、それが日本へ還流する場合もある。

そして、中国から日本に帰化した人物が日本でペーパーカンパニーを登記する。「経営の実態がない」その企業が〝灰色の資金〟を使い、土地や建物を購入する。この場合、表面上は「帰化人の企業による買収」となるが、資金の出所は中国であり、本当の持ち主は別人(組織)なのだ。

このような手段で、日本全国の森林地帯(水源地)、離島を含む港湾や自衛隊駐屯地の周辺、ニセコや富良野など人気の高い観光地、農地、駅周辺の商業ビルまで、中国マネーが現在進行形で獲得もしくは狙っている。

そのためには〝外資〟で規制するのではなく、大型買収に名乗り出た企業(個人)の経営実態と資産を、銀行を通じて調査すれば「シロかクロか」わかるはずである。それと、「香港で上場した名のある企業だから大丈夫」という判断ミスを防ぐためにも、中国企業は少なからず「人民解放軍の背景」があることを周知徹底すべきではないか?