ノンフィクション作家・河添恵子

〝脱中国〟へ舵を切る
ブレグジット後の英国

「アフタ・コロナ」という前例のない未来
日本の覚悟が問われる

香港国家安全維持法(国安法)に反対するデモ隊と警察機動隊が衝突(2020年5月27日)。
国際社会から非難の声が出ている国安法は、2020年7月1日、香港の返還記念日に施行された。
(Anthony Kwan/getty images)

「人権侵害」を理由に制裁に動く英国

目下、英議員は超党派で、ジョンソン政権に対し、「香港問題や新型コロナウイルス流行に関する隠蔽などの行為について、中共に反対する確固たる立場をとるよう」要請している。

さらに英議会は七月七日、ブレグジット後の一国では初めてとなる、人権侵害を理由とする四十九個人・団体に対する制裁を発表した。制裁対象者は今後、直ちに英国への入国が禁じられ、英国での金銭の流通、または生産を通じて英国経済から利益を得ることができなくなる。

香港のキャリー・ラム行政長官や前長官、自由と民主主義を後退させる香港政府中枢の人間はもちろん、中国共産党幹部とその家族まで、近い将来、次々と制裁名簿に入ることは容易に想像がつく。

英国の一連の〝新たな動き〟に対し、中国の劉暁明駐英大使は、「中国の内政への重大な干渉であり全面的に拒絶する」と息巻き、「国際関係の基本的な規範を、公に踏みにじっている」と非難した。
これに対し、ドミニク・ラーブ英外相は「これは内政干渉ではなく信頼の問題。多くの国は、中国が国際的義務に従っているのか疑問に感じている」などと真っ向から反論した。

それにしても、永田町に居座り続ける与野党議員、そして「報じない自由」を謳歌するマスメディアは、一体誰の方向を向いて仕事をしているのか? 何より、「中国共産党を敵」とする動きが、トランプ米政権による唯我独尊の暴走ではなく、ファイブアイズやEU加盟国などの新潮流であること、なおかつ不可逆的に動いていくであろうことを、政官財他を含む日本人の大多数がまだ分かっていないようだ

世界が痛みを伴う抜本的な改革に着手し、「アフタ・コロナ」という前例のない未来に向かって果敢に前進するなか、日本が情報収集と解析を怠り、思考停止に陥ってしまえば〝難破船〟になるだけなのだ。

河添恵子

河添恵子
Kawasoe Keiko

ノンフィクション作家
株式会社ケイ・ユニバーサルプランニング 代表取締役
一般社団法人美し国 なでしこオピニオンの会 顧問

1986年より北京外国語学院、1987年より遼寧師範大学(大連)へ留学。『中国人の世界乗っ取り計画』(産経新聞出版・2010年)はAmazon〈中国〉〈社会学概論〉2部門で半年以上、1位を記録するベストセラー。近著は『米中新冷戦の正体』(共著)(ワニブックス)Amazon〈中国の地理・地域研究〉1位。ネットTV(林原チャンネル・チャンネル桜等)にレギュラー出演中。50ヵ国以上を取材。

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