ノンフィクション作家・河添恵子

武漢発・新型コロナウイルス

感染拡大は中国政府の「隠蔽」が
原因では?

中国当局が封じ込めたいものは

新型コロナウィルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は三月十一日、パンデミック(世界的大流行)を宣告した。ドナルド・トランプ米大統領は、十三日に国家非常事態宣言を発表し、各州の判断で外出禁止令が出された。欧州各国も封鎖状態となり、イタリア北部など多くの感染者と死者が出た国、フランス、英国などでも外出禁止令や厳格な移動制限などの措置がとられた。そして日本でも、四月七日、七都府県を対象に緊急事態宣言が発令された。

それにしても、中国当局が必死に封じ込めようとしてきたのは何なのか、我々はそれを冷静に考える必要がある。結論から申し上げれば、瀕死状態の中国経済、崩壊寸前の医療現場、人民が自由に事実やSOSを発したりすることであり、ウイルスは二の次。感染者や死者数も、国内外の専門家らによる試算では「中国当局が発表している数の四十倍ほど」との話もある。

李克強首相(中国共産党序列二位)をトップ(組長)とする、「アウトブレーク(集団感染)を防ぎ制御する領導小組(疫情防控領導小組)」が始動して以来、武漢の病院のみならず、全国の医療機関は公安に管理されている。情報漏洩を恐れているためだ。

習主席が一月二十日に出した重要指示のなかには、「迅速な情報開示の徹底」があるが、皮肉にもこれに従った"模範的な行動"を取っているのは、反習近平一派と反共産党勢力である。独裁政権とはいえ、敵対勢力は国内外に大量にいる。

武漢の医療現場では、SARS(重症急性呼吸器症候群)のような症状の患者の存在を十二月一日に確認している。

ところが、習主席が新型コロナウイルスの発生について公に語ったのが一月二十日。とすれば、五十日も隠蔽し続けていたのだ。この間に、一説には五百万人ほどが武漢を出入りしている。

トランプ大統領の元側近、首席戦略官兼大統領上級顧問を務めたスティーブン・バノン氏は、FOXテレビで「米国は、中国政府が武漢で発生したこの問題を早々から知っていた、と確信している。ところが、武漢の高官を含めダボス会議に千人以上を派遣し、ビジネスの問題は議論したが、武漢で新型コロナウイルスが拡散されていることには言及しなかった」と非難している。

ダボス会議への参加者に、"自覚なき感染者"がいなかったとは限らない。